”おしゃれの先輩”たちが教えてくれた「服の買い方」を自分のものにできるまで

今日、こんなツイートがバズりかけていたので、ぜひ紹介したいと思い、このコラムを書くことにしました。

「服を買うこと」について、noteでも「ビンテージショップで常連になるのは『選ばれた人』だけだと思ってた」という素敵な記事があります。先日Twitterでバズっていたのでこちらの記事を読ませていただき、とても共感した記憶が新しいうちに見かけた、やはり「服」に関する呟きでした。

私自身、長いことプチプラの服しか買ったことがなくて、服に4000円以上出すなんて正気の沙汰じゃない、くらいに思いながら生きてきたので、プチプラのありがたみもすごく分かります。

けれど人生の節目節枝で出会うすてきな女性たちからは「服はいいものを選んで買いなさい」と言われて続けてきました。

元ブティックのママが教えてくれた「いい服を1着だけ買うのよ」

私が高校生の時、アルバイト先のオーナーの奥さんが、洋服好きが高じてバブル期に大阪で自分のブティックを経営していたという、元ブティックのオーナーでした。

私が出会った時はオーナーのお店を二人で切り盛りしていて、雑談の中で「昔自分でブティックをやっていた」と教えてくれ「すごいな」と思ったことを覚えています。

その時、ママから服について、なんどかこんな風に言われました。

「服を買う時はね、安い服を3着4着って買うんじゃなくて、高い服、いい服を1枚だけ買うの。

今月はブラウス、次の月はスカート、その次の月はカーディガンっていうふうに。

そんな風に服を選ぶのよ」

服を買いに行くときは「あれも欲しい、これも欲しい」となるし、選んだ服に合わせやすい組み合わせで上下買うことも多いと思います。

けれどママは、そうやって安い服を一気に買うのは反対派でした。

一度だけ、ママのクローゼットを見せてもらったことがあります。

壁一面のクローゼットの中いっぱいに洋服がきれいに並んでいて、ものすごくビックリしました。

ママは「このクローゼットの中の服は、毎月1着ずつ、選んで買った”いい服”よ」と話し、その中から1着のスカートを私にプレゼントしてくれました。

いい服と言っても、シャネルとかディオールじゃありません。

日本のメーカーが作った、メイドインジャパンの、いわゆるデパートで取り扱うメーカーの服でした。

「私はもうこれを履かなくなったけど、あなたなら履けそうだから」

そう言って送ってくれたクリーム色のフレアースカートはとても上品で可愛らしくて、長いこと私の「とっておきのお出かけ用」でした。

高校生が買える1980円の服とは明らかに生地が違ったし、大学生になってもやっぱり服にお金はかけない生活をしていたので、私の持っている服の中でそのスカートだけはちょっと違って、浮いていました。

けれど、少ないアルバイト代でやりくりする私は、ママの教えは頭にあったものの、「いい服」「ちゃんとした服」に手をだすことはできず(せず)、ずっと学生向けのプチプラ服ばかりを着ていました。

大人になって友人が言った「服は5000円出すと違うよ」

その後、働き始めてもあまり収入は良くなかったので、やっぱり服はプチプラで、1980円か2980円で買っていました。それでいいと思っていたし、問題も感じていませんでした。

当時の私には、全身全霊でやりたいことがあり、それに稼いだお金を惜しみなくつぎ込んでいて、服にお金をかける余裕なんて全くなかったのです。

同じ職場で働く同僚が「すごくかわいいスカートをみつけたから2万円で買った」なんて話を聞いては、別世界のように感じていました。

仲が良い友達もだいたい同じような金銭感覚で、服にあまりお金をかけない子ばかり。

「服は安くていい」

そう思いながら生きてきたのです。

 

何度か転職を繰り返しながらも、最初の職場で仲良くなった子たちとはずっと付き合いが続いていました。そのうちの一人、一番仲良かった女の子と久しぶりに会ったある日、なぜか服の話になりました。

その時、彼女が「最近、ちょっといい服を買うようになった」と話してくれたのです。

「いいって、どのくらい?」

「1枚5000円くらい」

「えっ、高いよ!」

「でも、5000円超えると違うよ。ワンシーズンでだめにならない。長持ちする

そういうもの?

でも、腹を割った話ができてほぼ隠し事のない付き合いをしている彼女の言葉は私にとって説得力があり「そういうものかも」と思えました。

それから、時々、少しだけ(私にとっては)高い5000円くらいの服に手を出すようになったのです。

 

うん、確かに5000円くらいの服は、1980円よりしっかりしている。

余裕でワンシーズン、キレイに着られるし、1980円よりかわいいし、いいかも。

 

そう実感しつつも、相変わらずの貧乏暮らしだったので毎回全部を5000円の服にすることはできず、「できるだけ5000円くらい」を目指しつつも、基本的には安い服ばかりを選んで買っていたのです。

お洒落超上級者の友人の発言「服を買ったエピソードを全部覚えている」

それから間もなく、また転職した先は、おしゃれでキラキラした女の子が多く集まる女子度の高い職場でした。

その中でも特に服が好きだという女の子がいました。

女子8人ほどでワイワイ話しながら作業をしていた時、こんな会話になりました。

「服を買いに行くとさ、手持ちの服とのコーディネートを考えながら買いたいんだけど、手持ちの服を忘れてるというか、思い浮かばないことが良くある」

「ある!」

「クローゼットの中を掃除すると、存在を忘れてた服が出てくることがあるよね」

「あるある!」

「わかるー、うちも!」

女子トークでは良くあるネタだったのですが、彼女がびっくりしたように

「えっ、そんなことあるの?」

と本気のトーンで切り返してきました。

「私は自分が持っている服、全部思い出せるよ」

いやいや、むしろそっちの方がびっくりだし。

ほんとに?

と聞き返すと

「服をいつどこで買ったのか、買ったときに店員さんとどんな話をしたのかも全部覚えてるよ。だって、買う時すごく悩むもの。悩んで悩んで選んだ服ばかりだから、全部覚えてる」

と答えたのです。

「すごいー!」とまた盛り上がったのですが、わたしには本当に本当にびっくりする返答でした。

同時にすごく素敵だなと思ったのです。

持っている服全部にエピソードがあって、それをずっと忘れないって、すてき。

 

思い返せば、彼女はいつもおしゃれでかわいらしい恰好をしていましたが、いろいろな服をたくさん持っていて見るたびに違う恰好をしているというのではなく、デザインと質の良い、自分にぴったりの何枚かの服を大事に着ているという印象でした。

流行の「今年はこれ」というようなデザインの服は着ていなかったように思えます。

その代わり、たぶん5年たっても10年たっても古臭い印象にはならない、そういう服を着ていました。

 

今思えば、彼女が「悩んで悩んで服を買う」と言ったのは、1着がそれなりの値段がするから。1万とか2万とか、もしかしたら3万とかする服だから、気軽に冒険するようには買えない。けれど、それだけ悩んで買った服だから、1着1着が大事だし、全部に思い入れもあるし、ストーリーもある。

 

同じ職場で働いていたときは分からなかったけれど、そういうことなのだと思います。

駅ビルとデパート、同じデザインなのに布の厚みが違う

それから1年ほど経ち、そのキラキラ女子が集まる職場は地方に移転することになってスタッフはほぼ全員、その会社を退職しました。

また違う職場で働き始めた時、私はあるデザインのブラウスが欲しくて、たくさんの店を時間をかけて探し回ったことがあります。

そのデザインは特に珍しくなくて、安いプチプラの店にもあれば、ミドル(5000円くらいの服を扱う店)にもあり、はたまたデパートに入っているブランドショップにも置いてありました。

最初は「できるだけ安く買いたい」と思ったのでプチプラの店で何着か手に取ってみたのですが、「もっと気にいるデザインや布、色があるかも」と探す店の範囲を広げました。

当時私は池袋沿線に住んでいたのですが、ルミネはもちろん、池袋西口側の地下にある東武ホープセンターに入る店や東口側の池袋ショッピングセンター、パルコ、路面店まであらゆる店を丹念にチェックしたあと、西武デパートと東武デパートにも足を伸ばしたのです。

西武や東武に入るような、薄いトップスすら1着1万円くらいする店なんてまったく縁がなかったので、ドキドキしながら店に入り、0が一つ違う、同じデザインの服に手を触れてみて驚きました。

見た目は同じなのに、生地が違う。

プチプラの服は生地がペラッペラで薄くて頼りなくて、いかにも安い生地なのに、デパートに入るブランドの服はパリッとしていて厚みがあって、なんか「頼りがい」がある。

え、こんなに違うの?

驚きながらその足でまた駅ビルに向かってほぼ同じデザインの服を手にしてみると、あまりの生地の違いに、なんだか泣きそうになりました。

服って、店で、値段で、こんなに違うのか。

全然知らなかった。

 

それからしばらく悩んで、数日悩んで、「いい服」を買うことにしました。

まだセールにもなっていないデパートに入るブランド店の、万を超えるブラウスを。

 

着てみて「やっぱり違うな」と思いました。

 

それから、私が「いい服」だけ買うようになったのかというとそうではなく、金銭事情もあって基本的にはやっぱりプチプラ服ばっかり買っていました。

けれどある時、ものすごい断捨離をして服をかなり捨て、その頃から服を買う場所がデパートに変わりました。

価値観が変わってきたこともあって

「服はたくさんいらない、質のいい確かなものが、各シーズン数着あるのが望ましい」

と思えるようになったからです。

 

だから、まだ私の家のクローゼットにある服はプチプラ混じりで、たまに5000円台くらいの服もあって、でもメインはデパートで悩んで考えて買った服になりつつあります。

けれどそうやって混ざっていろいろ着るようになると、「ちゃんとした服を着た時の自分」は、自分に自信が持てているなと、ある日気付いたのです。

ちょっと敷居の高そうな店にも臆せず入っていける。目上の人と会う時も落ち着いていられる。

それは、「ちゃんとした服」を着ているときだな、と。

同時に、バッグや靴も少しずつ、グレードアップさせていきました。

安いアクセサリーは処分し、いいものを少しだけ残すことにしました。

 

年齢を考えるとまあ普通のことなのですが、そうやって少しずつ「いいもの」が増えてくると、やっぱり自分に自信が持てるんですよね。

 

とはいっても、安い服もないわけではなく。

パジャマやルームウェアは着古したプチプラ服だし、近所のファミレスやコーヒーショップに行くときも安いものを着ています。ユニクロやGUは買わないけれど、無印には相変わらずお世話になっています。

でも、ちゃんとした「おでかけ」や仕事に行くときは、「いい服」で行きたい。

そんなメリハリが作れるようになりました。

高い服を買うのは勇気がいる

けど、1980円ばかり買っていた人がいきなり1万円のものに切り替えるのは勇気がいります。それが成功するか分からないし、手持ちのものとうまく組み合わせられるかわからないし、その服のテイストが合うかも分からないし。色も、デザインも、布の感じも。

怖いです。

だから、「いい服が買いたい」と思っても、「いい服」を扱う店に入ることすら敷居が高く感じられました。

1980円の服を着て、1万円以上の服ばかりならぶ店には入りにくい。

全身ユニクロでMax Maraに入れないのと一緒です。

 

そんな私が「これなら失敗ないかも」というレッスンになったのが、エアークローゼットでした。

エアクローゼットは服のレンタルサービスで、私が利用していたときは、確か月7000円くらいで、3着の服がスタイリストから送られてきます。服は前シーズンやもしかしたら前々シーズンのものですが、きれいで、しかもデパートブランドのものになります。

仕事や婚活パーティで、活用させてもらいました(笑)

で、「こういうブランドの服があるんだ」「こういう形、私に似合うかも」と、練習させてもらいました。

エアクローゼットで送られてくる服ならユニクロよりも上等なうえ、もうコーディネートもでき上がっているのでそれを着てデパートのお店で服を選びました。怖くなかったです(笑)

もういいかなと思ってエアクロは卒業したのですが、エアクロに支えてもらった時期が確かにあり、とても助かりました。

プチプラは卒業したい、でも「いい服を扱う店」に入る勇気がでない。

そんな人は試してみてもいいかもしれないと思います。

エアークローゼット

宝くじにでも当たらない限り、多くの人がいい服は一気にたくさんは買えません。でも宝くじは現実的じゃないから、「1カ月に1枚、ワンシーズンに1枚」ずつ、「自分が本当に納得した良い服」を手に入れていくのが、確実なのかなと思います。

プチプラにもお世話になったし、そのありがたみも分かるけれど、自分を底上げするために。

「いい服」に挑戦してほしいと思います。